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血液透析について

腎臓の働き


① 老廃物の排泄
毒素の排泄、体の中で不用になった重金属、薬剤、有害物質を排泄しています。

② 水分の調節
腎臓は、体の水分を、常に一定に保っています。
尿は、体に水分が多いと薄く多くなり、体に水分が少ないと濃く少なくなります。

③ 電解質のバランス調整
電解質には、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、クロール(Cl)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、重炭酸(HCO3)などがあります。
これらの電解質のバランスを正常に保っています。

④ 血液を弱アルカリ性に保つ
血液を、pH7.35~pH7.45に保っています。

⑤ 造血刺激ホルモンの分泌
造血刺激ホルモンを分泌して、骨髄に赤血球の製造を促しています。

⑥ ビタミンDの活性化
ビタミンDは、肝臓で一度変化してから腎臓で活性化されて活性型ビタミンDになります。
活性型ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を助けています。

⑦ 血圧の調節
血圧が下がり腎血流量が減少すると、レニンと言うホルモンが分泌され血圧を上げるように働きます。

⑧ 不要になったホルモンの不活化
ホルモンは、体の機能を調節しています。
体にとって不要なホルモンを壊したり捨てたりしています。

腎臓の病気ではこうした働きが弱るため、体に余分な水分や塩分がたまることで血圧が高くなったり、浮腫(むくむこと)が出現します。また老廃物(尿毒素)がたまると、だるくなったり、食欲がなくなったり、吐き気や頭痛がみられるようになります。造血ホルモンが足りなくなるために貧血(赤血球がたりなくなること)も出現します。その結果として息切れやつかれ易さなどの症状もみられるようになります。


透析療法


透析療法とは腎不全が進行し、自分の腎臓が充分に働かなくなった時に腎臓の代行をしてくれる治療法です。かつては尿毒症、腎不全は不治の病でしたが、透析療法の出現によって多少の制約はあるものの、健康な人とそれほどかわりのない生活を送ることができるようになりました。
「透析療法が必要です」といわれると、今後の生活はどうなるのだろうか、仕事は続けられるのだろうか、つらい毎日になるのだろうか、など多くの不安をもたれることと思います。
透析療法は、日本で約25万人、人口500人に一人が透析療法をうけていることになりますが、大半のかたは元気に生活、活躍されているので、外からみても透析患者であるとはわかりません。それだけ確立した安全な治療法といえるのですが、「透析はつらい治療だ」「透析を始めると長生きできない」などの誤解がまだあるようです。
透析療法は、弱った腎臓の働きを補い、体にたまった毒素を取り除き、体調をととのえる、体力を回復する治療法です。透析療法を続けるためには、食事制限をしたり、通院したりしなくてはいけないという点では健常人にくらべてハンディキャップはあるでしょう。しかし、適切な透析療法をうけることによって、ほぼ通常通り、健康なひとの生活に近い毎日をおくることができます。
積極的に透析療法を行い、元気に楽しく長生きすることをめざしましょう。
透析療法について不安な点、疑問点があれば、遠慮せずに担当の医師や看護師にご相談下さい。


血液透析


血液透析は、血液を体の外へ引き出し、機械を使って体にたまった余分な水分や老廃物(尿毒素)を取り除く治療法です。現在わが国では25万人以上の方が血液透析を受けられ、元気に生活されています。 わが国の血液透析の治療成績は世界最高ですから、安心して治療をうけることができます。
透析療法は元気に楽しく生活するための治療法です。


ダイアライザー(透析器:人工腎臓)
細いストロー状(0.3mmほど)の透析膜を1万本前後、円筒状の容器に入れたもので、糸球体に似たはたらきをします。この膜の内側を血液が流れ、外側を透析液が流れます。


血液を体外へ出し、人工腎臓(血液透析器=ダイアライザー)を用いて、血液中の老廃物(尿素窒素、クレアチニン、尿酸、K、Pなど)や余分な水分を取り除き、浄化されたきれいな血液を体内へ戻します。
このためには、体から血液をとりだす部分と、きれいになった血液を体に戻す部分が必要なので、手術で腕の血管を太くします。動脈の一部と静脈の一部をつなぐことで、動脈の血液一部が直接静脈に流れ込むようにしたものを「シャント」とよび、ここに2本の針を刺して血液の取りだし口と戻り口とします。
一回4~5時間、週3回通院して治療をおこなうのが標準です。わが国では25万人以上のかたが血液透析を続けており、特殊な治療ではなく確立した安全な治療と考えられています。


シャントについて


血液透析をおこなうには1分間に約200mlの血液を体外に取り出す必要がありますが、腕の表面にみえる静脈に針をさしても十分な血液量をとることはできません。動脈に針をさせば十分な血液を得ることができますが、動脈は腕の深い位置にあり見えないこと、周囲に神経があるため針を刺すときの痛みが強いことから週3回の透析で使用するのには問題があります。このため、腕の静脈と動脈を吻合すれば、動脈の血液が腕の表面にみえる静脈を流れるため、十分な血液量が得られ、針を刺すのも容易ですし、痛みも軽くてすみます。動脈と吻合して太くした静脈をシャントと呼びます。


血液透析の利点


日本で透析を行っている方の95%以上が血液透析を行っていますので、治療が行える施設の数は充実しています。
透析施設では、透析専門のスタッフが機械の操作をおこなうため、自分で機械の操作をしなくてよいという気楽さがあるでしょう。透析を受けている時間以外は自由に行動することができること、週4日は透析療法から解放されるということも利点かもしれません。
国内・海外旅行も可能です。透析日が旅行期間と重なる時には、事前に旅行先の透析施設に連絡をとり、臨時透析の申込を行う必要がありますが、比較的大きな都市であれば、透析施設の数も充実しているので問題はありません。もっとも離島や小さな町へ旅行される際には、透析施設の数に限りがありますので注意が必要です。


食事療養


透析の食事療法を厳重に実行しても長期に渡り栄養状態は健康な人と同じように保つことができないのが現状です。長期化すると血液透析における高カリウム、低カリウム、高リン血症、動脈硬化症など解決しなければならない問題は残されています。経口的に摂取する食べられる量が制限されることになります。健康管理がよいと30年以上も家庭で日常生活を送られていらっしゃる方もおられます。

食事療法は、そのときどきの合併症によって変わってきます。症状に合わせた食事をしていくことになりますので信頼できる医師の処方により食事内容を進めていくことが望まれます。