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コラム11

「床ずれ」について

介護老人保健施設「太陽の都」 副看護部長 高橋麻由美

皆さま初めまして、高橋麻由美と申します。私は、2000年から赤羽中央総合病院に勤務し、今年の7月に「太陽の都」副看護部長として異動になりました。利用者の方たちの幸せを何より願っている太陽の都の職員と一緒に、頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、皮膚排泄ケア認定看護師といって、褥瘡(床ずれなどの創傷、そしてストーマ(人工肛門)や排泄に問題を抱える方たちのケアを専門とする看護師です。資格を取得後10年間、私は以下の二つをライフワークとして活動してまいりました。
1.「在宅発生の床ずれを”ゼロ” にすること」
2.「Happy Nappy Life ケアをする人もされる人もハッピーにすること」
(※Nappyとはおむつのことです。)
私の活動報告はホームページにまとめてありますので、ご興味のある方は以下をご覧ください。
http://hapinapi.wixsite.com/tokotoko

今回は、一つ目のライフワークとしている「床ずれ」のお話をしたいと思います。

「硬い布団に寝かせておくと、床ずれができるなんて知らなかった。向きを変えてあげなきゃいけないなんて知らなかった。知っていたら…知っていたら…。お母さんを死なせることなんてなかったのに」。これは、自宅で作ってしまった重症の床ずれが引き金となり、母を亡くした娘さんが、声を震わせ涙ながらに語った言葉です。床ずれに関わる看護師として、床ずれが原因で尊い命を失ったことは、極めて無念でなりません。さらにお母さまが亡くなった後も、自分を責め続け、苦しんでいた娘さんのことを思うと、数年たった今でも涙があふれてきます。
皆さまは、床ずれというと完全に寝たきりの方がなるものと思っていませんか?実は違うのです。伝い歩きや、手押し車で歩いている方たちは要注意です。ちょっとした風邪や胃腸炎などで体調を崩した時に、和式布団(いわゆるせんべい布団)などの硬い寝具に寝ていると簡単に床ずれができてしまいます。脳梗塞で麻痺があったり、糖尿病や腰のお病気で皮膚の痛みを感じにくくなったりしている方は、特に注意が必要です。
普通人は同じ体勢で寝ていると体制も苦しくなりますし、骨の出ているところに一点に圧が集中して痛みも出てくるので、無意識に寝返りを打ちます。しかし、麻痺などで痛みを感じにくかったり、それよりも他の体の具合が悪かったりすると、寝返りを打たず同じ体勢で寝続けてしまいます。そうすると圧迫されたところの皮膚の血流が途絶えて、床ずれができてしまうのです。
そんな時でも、10㎝を超える床ずれ予防のマットレスに寝ていれば、骨の出ている一点に体圧が集中せず、床ずれを予防することができます。床ずれができてしまったら、ご本人がつらいだけでなく、お手当などの介護の手間も増えてしまいます。重症の床ずれの場合、直すのに何年もかかることがあります。場合によっては命を落としてしまうこともあります。
どうぞ、ご家族様やお友達に伝い歩きや、手押し車を使う方がいらしたら、早めに床ずれ予防のマットレスに変えるようお勧めください。床ずれ予防のマットレスは、介護保険が適応になります。介護保険が利用できるかどうかは、担当のケアマネージャーにご相談ください。
本日は、褥瘡(床ずれ)のお話をしました。どんなお病気も予防が大切です。季節の変わり目は、体調を崩しやすくなりますので、皆さまご自愛くださいませ。

2017年9月18日