寒さがまだまだ残る2月、桜咲く季節の訪れをいち早く知らせるがごとく、梅の花があちこちの庭で咲き始めています。桜のように華やかではありませんが、凛とした佇まいで寒さに耐えながら咲く梅は、日本人の美意識に深く根付いた花です。
梅は松・竹とともに「歳寒三友」と呼ばれ、厳しい寒さの中でも枯れずに春を告げる存在として大切にされてきました。 梅の花言葉にも「忍耐」「高潔」といった意味があるように、寒さの中でも着実に春への準備を進める梅は、私たちの人生に様々な教訓をもたらしてくれていると言えましょう。
この梅の季節は、寒さだけでなく、実際に体調を崩しやすい時期でもあります。
たとえば整形外科の分野では、寒さと寒暖差の影響で、膝や腰、肩などの関節痛が悪化しやすくなります。気温が下がると筋肉や腱は硬くなり、血流も低下します。また、気圧の変動により関節の違和感や痛みを感じやすくなる方も少なくありません。さらに、路面凍結や厚い衣服による動きにくさから転倒事故が増え、手首の骨折や大腿骨近位部骨折、背骨の圧迫骨折などで受診される方が増えるのもこの時期の特徴です。
一方、整形外科以外の領域でも注意が必要な季節です。寒さと乾燥により、気管支炎や肺炎、インフルエンザなどの呼吸器感染症が流行しやすく、心不全や高血圧、狭心症といった循環器疾患や脳血管疾患も悪化しやすくなります。また、冬場は水分摂取量が減りがちで、脱水や便秘、腎機能悪化の原因になることもあります。さらに、日照時間の短さや寒さによって活動量が低下し、気分の落ち込みや不眠を訴える方が増える時期でもあります。花粉症がそれに追い打ちをかけてきます。
寒さに耐え忍ぶ梅は、その中で着実に蕾を膨らせていきます。私たちの体の中でも、この季節には目に見えない変化が良くも悪くも少しずつ進んでいきます。梅と違って私たちはその変化が目に見えるほどに酷くなる前に、痛みや不調を「年のせい」「季節のせい」と我慢しすぎず、早めに検討することが結果的に回復への近道になります。
さて、このたび当院整形外科の人工膝関節置換術の年間手術件数が都内の病院でベストテンに入り、最新の技術であるロボット支援型の手術件数では都内随一となりました(読売新聞1月)。当院はかねてより少しでも低侵襲で体への負担を減らす医療を安全かつ的確に提供できる体制を整え、この梅の季節においても皆様の気兼ねない受診をお待ちしております。