Respiratory Medicine

呼吸器内科

 

診療科の特色

呼吸器内科はさまざまなタイプの疾患を扱います。
感染症、アレルギー性疾患、悪性腫瘍から生活習慣病を合併しやすい睡眠時無呼吸症候群(SAS)など多岐に渡っています。
今までは、呼吸器疾患に罹患している患者数に対して、呼吸器専門医療を行える施設は大学病院などの大規
模病院に限られており、お困りの患者様が多くいらっしゃいました。
2016年6月に日本大学医学部呼吸器内科より常勤として熊澤医師が着任し、呼吸器専門医療を開始しました。
さらに、2018年4月より日本大学医学部呼吸器内科より常勤として新谷医師が、2020年より萩原医師が着任しました。
呼吸ケアサポートチームも発足し、さらなる呼吸器専門医療の充実を図っております。
医療連携としましては、近隣の大学病院である日本大学医学部呼吸器内科・呼吸器外科、帝京大学医学部呼吸器内科と医療連携しながら、積極的に治療をしております。
睡眠領域に関しても、2018年4月より睡眠学会認定技師が新たに加わり、2020年には増員し、終夜睡眠ポリグラフィーを積極的に行い、SAS診療の充実を図っております。
当科の特徴としましては、とにかくスピーディーに、適切に、検査・診断・治療を進めていきます。
CTは受診日当日に撮ることができますし、気管支鏡検査などの検査も迅速に行い、専門スタッフにより丁寧な診察を心掛けています。

●下記疾患の診察をしております。詳しくは下記診療内容をご参照ください
  1. 気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・好酸球性肺疾患
  2. 長引く咳・慢性咳嗽
  3. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)→睡眠センター
  4. 間質性肺炎・サルコイドーシスなどのびまん性肺疾患
  5. 肺癌などの呼吸器悪性腫瘍
  6. 呼吸リハビリテーション
  7. 禁煙外来

 

診療内容

【①気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・好酸球性肺炎】
ガイドラインに基づいて治療を行います。当科では重症の気管支喘息患者様や慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者様が多数通院されています。

喘息;(2019年度実績)500名以上の患者様が通院しています。
COPD;(2019年度実績)300名以上の患者様が通院しています。

気管支喘息や咳喘息の患者様には、測定できる施設が少ない呼気一酸化窒素(FeNO)などを測定し、診断はもちろんのこと治療効果の判定をすることも可能です。また発作時や急性増悪時には入院加療もおこなっております。
気管支喘息の治療は吸入ステロイド剤です。“ステロイド”という言葉の響きだけで敬遠されることが多い薬ですが、経口ステロイドと異なり、全身性の副作用は軽微であり、妊婦さんやアスリートにも使用可能です。

今までは大学病院などの大規模な病院しか行っていなかった喘息合併の妊婦さんの気管支喘息患者様も、当科では積極的に診察しており、また抗IgE抗体製剤(ゾレア®)や抗IL-5抗体製剤(ヌーカラ®、ファセンラ®)などの分子標的薬を用いた最新治療も積極的に取り入れています。また難治性喘息に対しては、気管支鏡によるサーモプラスティも行います。長年、吸入ステロイドを使用しても喘鳴(胸がゼイゼイする)がとれず、経口ステロイド内服をしていた患者様が分子標的薬を用いた最新治療により喘鳴がとれ、経口ステロイドから離脱できた患者様もいます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の多くは長年の喫煙により生じる病気で、以前は「肺気腫」と呼ばれていました。COPD患者様は、階段の昇降だけでもひどい息切れを感じ、次第に軽い日常労作で息切れがひどくなっていきます。COPDはまだ認知度が低く、世の中にCOPDと自覚されずに困っていらっしゃる方が多くいます。薬物療法・呼吸リハビリテーション・酸素療法を行っていきます。
また、慢性呼吸不全をきたしている患者様には在宅酸素療法の導入も行っております。

【②長引く咳・慢性咳嗽】
長引く咳でお困りの患者様も多く来院されます。長引く咳の多くは感染の後に続く咳ですが、その他には肺癌や肺結核以外にも咳喘息などがあります。咳喘息では発作性に空咳が続き、特に夜間や明け方に多く出ます。「なかなか咳が止まらない」とお困りになり当科を受診され、呼気一酸化窒素(FeNO)を測定して咳喘息と診断となった患者様も多数いらっしゃいます。咳喘息の3割程度の患者様は気管支喘息に移行すると言われていますので、早期の治療が非常に重要です。
慢性咳嗽は8週間持続する咳ですが、1つの目安としては、3週間持続する咳の場合に受診してください。FeNOなどの検査をして適切な診断をしますので、長引く咳でお困りの方は当科にご相談ください。

【③睡眠時無呼吸症候群(SAS)】
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は眠っている間に呼吸が止まる病気です。
睡眠時無呼吸症候群;(2019年度診療実績)数百名の患者様が通院しています。
症状としてはいびきや日中の眠気などがあります。日本では睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者様が推計300万人の患者様がいると言われていますが、治療している患者様は少ないのが現状です。昨今、ドライバーが運転中に耐えがたい睡魔におそわれて悲惨な交通事故が報道されています。その加害者ドライバーは睡眠器無呼吸症候群(SAS)の適切な治療を受けていなかった方が多くいると報道されています。睡眠器無呼吸症候群(SAS)は高血圧・糖尿病をはじめとする生活習慣病を悪化させ、心・脳血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞など)の発病率を上昇させます。いびきをかく方、家族に睡眠時の無呼吸を指摘された方はご相談ください。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太っている方だけの病気ではありません。

実は、日本人は欧米人と比べて、痩せている方でも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者様が多くいらっしゃいます。また当院では女性の患者様も多数通院されていますので、ご安心ください。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の簡易検査(最初に行う検査)は自宅でできますので、まずは気軽にご相談ください。また1泊入院の精密検査(睡眠終夜ポリグラフィー;PSG)も当院で行うことができます。

2017年度までは週に1回までしかPSG検査を行えませんでしたが、2018年4月より睡眠学会認定技師が新たに加わり、2020年4月には1名増員し、週に2回のPSG検査を行えるように医療体制の充実を図りました。睡眠中の無呼吸を検査し、呼吸器専門医がCPAP治療などの適切な治療を行います。

【詳しくはこちら】

【急性期のリスク】

・起床時の頭痛
・頭重・倦怠感
・集中力・記憶力の低下
・日中の眠気
・交通事故
・生産性の低下
・作業ミスによる労働災害

【慢性期のリスク】

・高血圧
・糖尿病
・心血管障害
・心不全
・夜間突然死
・脳卒中
・認知障害

 

【④間質性肺炎・サルコイドーシスなどのびまん性肺疾患】
間質性肺炎やサルコイドーシスは難病に指定されていて、いまだに有効な治療法が少ないのが現状です。今までは大学病院などの大規模な病院しか行っていなかったピレスパ®やオフェブ®などの分子標的治療薬を積極的に取り入れています。経口ステロイドを多量に服用されていた患者様の中には、オフェブ®を服用することでステロイド量を減らせた患者様もいらっしゃいます。
当科ではCTや気管支鏡検査を行い、迅速に診断し、適切な治療を行います。
また間質性肺炎の急性増悪に対するエンドトキシン吸着療法などの最新の治療を取り入れております。

【⑤肺癌などの呼吸器悪性腫瘍】
以前は喫煙者の男性の肺癌患者様が多かったのですが、最近では非喫煙女性の肺癌患者様が増えています。当科で肺癌診療の最も大切にしていることは、“早期発見・早期治療”です。迅速にCTや気管支鏡検査を行い、手術可能な状態であれば、当科と連携している日本大学医学部附属板橋病院呼吸器外科に早急にご紹介いたしますのでご安心ください。手術ではなく抗癌剤による化学療法が必要な患者様は、当院で化学療法を行います。
「健診の胸部レントゲン検査で異常を指摘された」「咳が長引く」などの症状がありましたら、まずご相談ください。

【⑥呼吸リハビリテーション】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎の患者様に対して、呼吸リハビリテーションを行います。
当院の理学療法士は呼吸リハビリテーション学会に所属し、最新の呼吸器リハビリテーションを行っております。

【⑦禁煙外来についてはこちら】
認定施設
日本呼吸器学会関連施設
日本アレルギー学会専門医教育研修施設

患者数
外来;1日あたり30~60名
入院;1日あたり15~30名

●外来受診について(禁煙外来の診察日については【⑦禁煙外来】をご参照ください

呼吸器内科の診察をご受診ください。

診察担当医表

診察担当医表はこちら

  • 睡眠外来については月曜日に月1回、金曜日は毎週17:15-18:20の間で診察を行っております。 予約制となっておりますので、受付もしくは内科外来にお声かけください。

 

スタッフ紹介

呼吸器内科部長・医局長(常勤医師)
熊澤 文雄Kumazawa Fumio

専門:呼吸器内科学・アレルギー学

呼吸器内科医長(常勤医師)
新谷 栄崇Shintani Yoshitaka

専門:呼吸器全般・気管支喘息

呼吸器内科医員(常勤医師)
萩原 エリHagiwara Eri

専門:呼吸器内科全般

呼吸器科医員(非常勤医師)
野口 貴央Noguchi Takahisa

専門:呼吸器全般、肺癌

 

センター長あいさつ

私が2016年6月に日本大学医学部内科学系呼吸器内科より赴任し、赤羽中央総合病院呼吸器内科が産声をあげました。大学時代は日本大学医学部内科学系呼吸器内科の前主任教授 橋本 修先生、現主任教授の権 寧博先生の御指導のもと研鑽をつみ、地域に根付く当院のような病院で大学病院でしかできなかった治療をしたいと考え、赴任致しました。幸いにも多くの患者様・地域の先生方の御協力で、今では呼吸器内科常勤4名に発展しました。最近は遠方から通われる患者様も増えてきており、現在では1000名を超える呼吸器疾患患者様が通院されています。

当科の方針としましては、診療にあったって常に、迅速かつ適切に検査・治療を行い、丁寧な説明・診療を心掛けております。そして、学会や講習会に積極的に参加して、最新の治療を提供できるようにしております。

お困りのことがあれば、些細なことでも構いません。お気軽に御受診ください。

呼吸器内科部長・医局長
熊澤文雄