Column

病院長コラム

「春告鳥と桜」

鶯の初鳴きが次々と報告される時期となりました。春告鳥という別名のごとく、春の到来が少しずつ感じられる時期ですし、今般の新型コロナウイルス感染症の流行の波も一応去ろうとしていて、いろいろな意味で心明るい季節になりつつあると言えます。

春と言えば桜ですが、神奈川県では、河津桜(カワヅザクラ)が満開を迎えています(写真)。この桜は、本州産のオオシマザクラと南方種のカンヒザクラの交雑栽培種として育まれ、普通の桜よりは1ヶ月も早く満開の時期を迎える桜です。早咲きの春の植物種は、受粉を媒介する虫たちの活動がまだ活発ではない時期に咲くことから、子孫繁栄には不利であるとされ、自然淘汰されやすいとも言われているわけですが、こうして今年も見事に咲き誇ることができているのは、一つは地元の方々の保存活動の賜物でもありますが、もう一つは他の桜よりも一足早く花粉の媒介虫を少ないなりに惹きつけることができているからなのかもしれません。その意味では「早め早めに物事を行うことのメリット」を教えてくれている花と言えます。さらには、一般の桜の集団とは少し離れて咲くという慎ましやかさをも持ち、それでいて春の訪れを真っ先に教えてくれる桜でもあるわけで、周りの私たち人間には恩恵を発する桜とも言えましょう。無理なこじつけかとは思いますが、健康、あるいは病気についても、「早めの対処」「早めの対策」は、本人にとっても、そして周りの家族にとっても大切であることを改めて思う桜です。ちなみに今年は例年より数倍花粉が飛ぶとされ、花粉症の方々には難渋の春とは思いますが、昨今は数々の治療法・治療薬があり、早く対策をとるほど治療効果があるとされています。またこれまでのこのコラムで何度もお話してきたように、生活習慣病でも、悪性疾患でも、早めの対処の大切さはどんなに強調してもしすぎることはないほどです。

新型コロナウイルス感染症もこのまま終息すればと誰もが願っているところではありますが、当院では決して油断することなく最大限の対策をとりながら、「早めの受診」「早めの治療」が心置きなくできるような環境を整えておりますので、安心してご来院下さい。